パイプスペースとは何か知っていますか?間取り図では、PSやMBといった表記を見ることがあります。間取り図のPSやMBを収納スペースと勘違いする人が多々いますが、実はこのPSやMBは収納やトランクルームなどではありません。今回は、このPSを始めとするパイプスペースやMBについてご紹介していきます。リフォーム計画時や間取り図を見る時にきっと役立ちます!
パイプスペースとは、建築用語で給水管や排水管が通る場所を指します。間取り図ではPSとして記載されます。この水周りの配管をむき出しにすると音がうるさいので、一般的に壁で囲われています。この空間のことをPS=パイプスペースと呼びます。
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PS=パイプスペースと一緒によく見られるMBとは、メーターボックスを指します。電気や水道、ガスのメーターを収納した場所で、検針が前提になっているので玄関脇や外部に設置されています。間取り図では、MBPSという記載も見られます。これは、メーターボックスとパイプスペースが一緒に設置されていることをいいます。
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間取り図では、PSやMBと一緒にDSという表記もあります。このDSとは、ダクトスペースを指します。ダクトスペースとは、換気や空調のための通気管を収納する場所で、この他に、水道管・ガス管・電力線などをまとめて通す場合もあります。
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マンションの間取りをリフォーム時に変更する際は、PSやDSと水回りとの位置関係を考慮しなくてはいけません。特に水回り設備とパイプスペースとの距離の考慮が必要です。マンション設計は排水管の勾配を考慮したレイアウトになっています。これをリフォームで間取り変更することで、キッチンとPSを離してしまうと、計算どおりに排水できなくなるという問題が起こります。
マンションの間取り変更リフォームをするときに、このPS、MB、MBPS、DSが影響する場合があります。例えば、こちらはリビングとダイニングから廊下まで続く天井に、もともと台所のレンジフードの換気ダクトがあり梁型のように出っ張っていました。そこでその下がった部分を利用し間接照明を取付け、仕上げをオーク材とした下げ天井で、やわらかくリビングとダイニングを区切る設えとしています。
パイプスペースの遮音性には注意が必要です。例えば、上層階で排出された浴室やトイレ、キッチンなどの排水がPS内の配管を流れていく時に発生する排水音は、暮らしの中でストレス要因になりがちです。壁に遮音対策がされているか、またパイプの材質や遮音性の高さにも注意しましょう。
寝室近くにパイプスペースが配置されている場合は、その排水音が就寝の妨げになることがあります。ライフスタイルの異なる上層階や近隣のシャワーやトイレの排水音が気になり始めると、近隣トラブルに発展しかねません。できるだけ寝室付近にPSがないように気を付けましょう。
リフォームなどでキッチンを移動したい場合、排水を促すため床下を上げて勾配をつける必要が出てくる場合もあります。また、どうしても間取り上、適切な排水管の勾配を確保できない場合があり、理想通りのリフォームが出来ないということもあるということを覚えておきましょう。
マンションの間取り変更工事をする場合、水回り配置を大きく変えなければ工事費を抑えることが出来ますが、PS(パイプスペース) から遠くなると、床を上げるなどの追加工事が発生し、想像していたよりも工事費が高くなるということがあります。
PSやDSが間取りの中央を通るような場合、それを利用してデザイン性の高い下げ天井や梁のように見せることも可能です。またPSの周辺を壁で覆い飾り棚や収納スペースにすることも可能です。ただパイプスペースは、メンテナンスのために広めにつくっておきましょう。
パイプスペースの柱の活用法として、タイルを貼ったり、空間のアクセントになる木目柱としてデザインしたりなどの方法があります。選ぶ柱の形やタイルの種類、カラーなどでガラリと雰囲気が変わるので、自由な発想でおしゃれにしてみましょう。
パイプスペースによっては、どうしても壁の一部が出っ張ってしまうということが起こります。このデザイン処理は、やはりリフォーム会社や建築家の腕の見せ所です。どうしても建物内にPSを確保できない場合は、外に配管する場合もあります。
屋外に配管を出すというメリットは、排水の生活音が気にならなくなるという点があります。同時に間取りを広くしたり、収納スペースを確保したりなど、空間全体を有効に活用することが出来ます。また経年変化と共に必要になる修理時に、壁や床を剥がすなどといった工事の必要がなくなります。
屋外配管のデメリットは、配管収納ボックスを設置していない場合、配管がむき出しになり外観の印象に影響する場合があります。また配管が露出されていることにより、劣化や破損が早く進むといったことも考えられます。
マンションでは、どうしても思うようにリノベーションができないといった事態になることもしばしば。中古物件を探すときは、エリアや予算だけでなく、理想のリノベーションができるか、購入前にリノベーションの専門家に相談しながら進めると安心です。