お風呂は建物内に一カ所、トイレは一カ所または二カ所というのが日本の一般的な住宅です。しかしヨーロッパではそれらに加え、主寝室に専用のバスルームを設けることも珍しくありません。専用バスルーム付きの寝室はまるでホテルのスイートルームのよう。住宅内の社交エリア(リビングやダイニングルーム)に出る前に身支度をすべて整えることができるので便利です。と言っても、やはりこれが贅沢な設備であることには違いありません。今回は実現するかしないかはいったん置いておき、モダンなバスルーム付き寝室をデザインする方法をいくつか紹介します。
自宅をデザインする前に知っておきたいことは、寝室のどこにどのようにバスルームを配置したいのかを明確にすることが最初のステップであるということ。しかし、どこにでも設置が可能であるわけではなく、そこにはルールがあります。まず最初に換気システムの装備が必須です。換気が充分でないと、特に寝室に隣接したバスルームは寝具にカビを発生させる原因にもなりかねません。そして住宅の設計と品質を保証する最低限の要件によれば、天井高は最低でも約2.20mが必要で、少なくとも”浴室”とみなされるためにはシンク、トイレ、シャワーの設備が必要です。
寝室として使える面積とベッドを始めとする必須家具のサイズが明確になれば、バスルームとして設定できる残りの面積が分かります。しかし、面積が小さいから無理と諦める必要はありません。小さなコーナーにコンパクトな洗面台を設置するなど、省スペースで実用的なアイデアはたくさんあります。
小さい寝室であればあるほど機能性と実用性を重視したデザインが必要となります。さほど大きくない寝室にバスルームを設置したい場合のおすすめは、ガラスの仕切りのシャワー室です。ガラス自体の存在感はほぼ無いに等しく、しかし両方のスペースを仕切ることができるという高い機能性。ベッドからシャワーへのアクセスも容易です。
モダンスタイルのバスルームで現在人気があるのはウォークインシャワーです。フラットにつながったこの開放的でフリーな空間は、省スペースで視覚的な清潔さも抜群。小さい寝室にも取り入れることが比較的容易です。このようなオープンなデザインの場合は床に的確な斜面を付け、水が排水溝へすべてきちんと流れるように設計する必要があります。
バスルームを部屋の角に配置したとしてもそれがパーテーションなどで囲まれていない場合は、視覚的に寝室から切り離す方法を見つけなければなりません。例えばこちらのモダンなデザインでは、洗面台の壁を寝室とバスルーム間の仕切りとしても活用しています。セミオープンなデザインで空間の広がりを維持して圧迫感を軽減しています。
寝室のサイズが充分で自由なレイアウトが可能であるなら,バスルームは部屋の奥に配置するのがおすすめです。バスルームの壁や仕切りの一部をガラスにすると、自然光をバスルームエリアの奥まで届けることができ、コンパクトな浴室でも圧迫感を感じず快適なバスタイムを過ごすことができます。
こちらの寝室は比較的コンパクトなサイズですが、専用バスルームには浴槽も完備されています。デザインのポイントは寝室とバスルームの境界にある壁。開口部があり、そこには壁と同色のブラインドが設置されています。バスルームを使用しないときは開けておき、部屋の広さを維持。プライバシーが必要な時はブラインドを閉じて、とフレキシブルな使い方が可能です。
こちらの寝室&バスルームは壁と扉でしっかりと分離されていますが、上半分がガラスであるために強く接続されている印象です。金属のフレームがインダストリアルなタッチを加えています。デザインで開閉のバランスをうまく取ると開放感とプライバシーの確保を両立できます。この例のように広々とした寝室ではそこまで気にする必要はありませんが、小さい寝室の場合は実用性にも直結するので専門家と一緒に計画することをおすすめします!