伝統的な日本家屋の扉はほぼ全てが”引き戸”で構成されています。玄関だけでなく室内空間を仕切るふすまや障子も引き戸です。生活様式の変化、建築様式の変化により引き戸は減り、ドアノブを回して開閉する”開き戸”が一般的になりましたが、今日海外では引き戸がフレキシブルに空間を仕切ることの出来る手段であるとして注目を浴びています。引き戸の良いところは壁に沿って動く為、ドア回りの家具の配置が自由に行えること、建物に何らかの原因でゆがみが生じた場合もある程度の許容範囲がある為、開き戸と違いドアが開かなくなることが少ないこと、そしてもちろん開閉によって空間を狭くも広くも自由にできるということ。海外では”Sliding door スライディングドア” と呼ばれるそれが、実際どのように活用されているのかご紹介したいと思います。
オランダにあるこちらの梁が美しいオフィスは、鋼鉄製の枠とガラスで構成されたスライディングドアで二つの空間を分けています。白と木材のブラウンを基調としたナチュラルで気持ちの良い空間を、差し込む光や開放性を遮ることなく分けることに成功しています。
こちらも同じくガラス製のスライディングドアで、ウォークインクローゼットとベッドルームを仕切っていますが、ガラス一枚の幅が狭いためさきほどのものより軽い印象です。モノトーンでまとめられたモダンなお部屋にもぴったりですね。本来は隠したいクローゼットの中身ですが、ガラス+敢えて見せる収納にすることで気も引き締まるかも。
こちらの住宅はレンガの壁が印象的な落ち着いたお部屋ですが、左端がスライディングドアになっており奥のスペースへと続いています。引き戸の良いところはドアノブが必要ないことで、閉めてしまえば壁があるような独立したひとつのお部屋として違和感無く成立します。急な来客時にも慌てる心配はありませんね。